大判例

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東京高等裁判所 昭和36年(ラ)81号 決定

よつて按ずるに、東京簡易裁判所がした本件強制執行停止決定が民事訴訟法第五百四十七条によつてなされたものであることは一件記録上明らかである。ところで、民事訴訟法第五百四十七条による強制執行停止決定は、口頭弁論を経ずしてなすことをうるものであるところ(同条第三項)、同法第五百五十八条には、強制執行手続において口頭弁論を経ずしてなすことをうる裁判に対しては、即時抗告をなしうる旨が定められているので、右決定に対しては当然即時抗告が許されるかの観がある。しかしながら、元来民事訴訟法第五百四十七条による強制執行停止決定は、同法第五百四十五条、第五百四十六条または第五百四十九条による異議の訴の提起が、当然に強制執行停止の効果を伴わないため、右訴の提起にかかわらず強制執行が行なわれ、結局異議の訴を無意義にするおそれのあることにかんがみ、異議の訴に附随してその判決がなされるまでの間、一時的応急的に強制執行の停止もしくは執行処分の取消を命ずるものであるから、これに独立した不服申立を許すことは、必ずしもその必要がないばかりか、かえつて不適当と認めるべきである。さらにこれを民事訴訟法第五百条による強制執行停止等の裁判の場合と対比してみるのに、同条による裁判もまた口頭弁論を経ずしてなすことができるにかかわらず、右裁判が実質上の審査をした上与えられたときは、これに対して不服申立が許されないことは同条第三項の規定および同項の解釈に関して下された数次の大審院決定の示すとおりであつて、これは右裁判が本案の裁判に附随してなされる一時的、応急的性質のものであるため、独立した不服申立を許すことがかえつて不適当であることを主たる理由とするものにほかならない。しからば、右の点につき全くその性質を同じくする前記第五百四十七条に基ずく裁判に対してもまた右第五百条第三項の趣旨を類推して不服申立を許さないと解するのが相当であつて、第五百四十七条の裁判につき第五百条第三項のような明文がなく、かえつて第五百五十八条の規定がある故をもつて反対に解することは、いたずらに法文の外形にとらわれ、実質を省みない誤りを犯すものというべく、当裁判所の採るをえないところである。従つて東京簡易裁判所がなした本件強制執行停止ならびに執行処分取消決定に対しては不服申立が許されず、抗告は不適法として却下せらるべきものであることは、上叙の説示によつて明らかである。

(奥田 岸上 下関)

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